「保育士の資格を取りたいけれど、独学でも合格できるのかな?」と迷っている方は多いと思います。結論からお伝えすると、保育士試験は独学でも十分に合格を目指せます。実際に、市販のテキストだけで合格している方も大勢います。ただし、合格率は決して高くなく、9科目という広い範囲や「ニコイチ」と呼ばれる難所もあるため、なんとなく始めると遠回りになりがちです。この記事では、保育士を独学で目指すときの難易度・合格率・受験資格から、必要な勉強時間、つまずきやすいポイントと勉強法まで、はじめての方にも分かるように丁寧に解説します。読み終えるころには、「自分は独学でいけそうか」がはっきり判断できるはずです。
この記事でわかること
保育士は独学で合格できる?難易度・合格率・受験資格

まずは「そもそも独学で受かるのか」「自分は受験できるのか」という、いちばん気になるところから整理します。難易度の実態と受験資格を正しく知っておくと、スタートで迷わずに済みます。
- 結論|正しい進め方なら合格を目指せる
- 保育士試験の合格率は約20〜30%
- 受験資格は学歴によって変わる
- 独学が向いている人・向いていない人
結論|正しい進め方なら合格を目指せる
保育士試験は、専用のスクールに通わなくても、市販のテキストと問題集で合格を目指せる国家資格です。受験に年齢制限はなく、働きながら、あるいは子育てをしながら挑戦している方もたくさんいます。一方で、「簡単に受かる」資格ではないのも事実です。合格率はおおむね20〜30%と高くはなく、出題範囲も広め。だからこそ、闇雲に勉強を始めるのではなく、試験の仕組みを理解したうえで計画を立てることが、独学成功のいちばんの近道になります。「難しそう」と身構える必要はありませんが、「ちゃんと準備すれば届く」くらいの心づもりで臨むのがちょうどいいでしょう。
保育士試験の合格率は約20〜30%
保育士試験の合格率は、近年おおむね20〜30%で推移しています。数字だけ見ると「狭き門」に感じるかもしれませんが、ここには理由があります。保育士試験は筆記が9科目もあり、1回ですべての科目に合格しなければならないわけではないからです(詳しくは後述します)。1回の試験ですべてに合格する人の割合が低いため数字は控えめに見えますが、合格した科目を持ち越しながら数回かけて合格していく人も多いのです。つまり「一発合格は難しめ、でも計画的に積み上げれば十分狙える」というのが実態です。合格率の数字だけに怯える必要はありません。
受験資格は学歴によって変わる
独学の勉強法より先に確認しておきたいのが受験資格です。最終学歴によって条件が変わるため、まず自分が受験できるかをチェックしておきましょう。おおまかには次の通りです。
| 最終学歴 | 受験資格の主な条件 |
|---|---|
| 大学・短大卒 | 学部・学科を問わず、卒業していれば受験できる |
| 専門学校卒 | 学校教育法に基づく、修業年限2年以上の専門課程を卒業していれば受験できる |
| 高校卒 | 1991年3月31日以前の卒業は条件なしで受験可。1991年4月1日以降の卒業は、児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要 |
| 中学卒 | 児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要 |
このほか、在学中の方や中退された方にも個別の条件があり、高校の保育科卒業など例外的な扱いもあります。少しでも不安な場合は、申し込み前に試験を実施している一般社団法人全国保育士養成協議会の公式サイトで、自分のケースに当てはまる受験資格を必ず確認しておくと安心です。
独学が向いている人・向いていない人
同じ保育士試験でも、独学が合う人とそうでない人がいます。まず独学が向いているのは、自分でスケジュールを立てて淡々と進められる人。費用を抑えたい人、すきま時間を使いたい人にも向いています。逆に向いていないのは、一人だと続かない人や、何から手をつければいいか分からず不安が大きい人です。とくに後述する実技試験は、独学だと「これで合っているのか」が分かりにくく、つまずきやすいところ。自分の性格と生活リズムを思い浮かべて、どちらに近いかを考えてみてください。向いていないと感じても落ち込む必要はなく、後半で紹介する通信講座という手もあります。
保育士の独学に必要な勉強時間とスケジュール

独学を成功させるカギは、ずばりスケジュール管理です。必要な勉強時間の目安と、試験の仕組みを踏まえた計画の立て方を見ていきましょう。ここを押さえると、ゴールまでの道のりがぐっと具体的になります。
- 勉強時間の目安は100〜180時間
- 試験は年2回・科目合格は3年間有効
- 無理のない学習スケジュールの立て方
勉強時間の目安は100〜180時間
保育士試験に独学で合格するために必要な勉強時間は、おおよそ100〜180時間が一つの目安とされています。1日2時間とれる人なら3〜4か月、1日1時間なら半年ほどが計算上のイメージです。もちろん、保育や福祉の知識があるかどうかで前後しますが、「思い立って数週間で」というよりは、数か月かけてコツコツ積み上げるタイプの試験だと考えておくとよいでしょう。逆に言えば、毎日少しずつでも続けられれば、働きながらでも十分に到達できる時間数です。まずは「1日に何時間とれるか」を現実的に見積もって、そこから逆算するのがおすすめです。
試験は年2回・科目合格は3年間有効
保育士試験は年2回(前期・後期)実施されます。前期は春に筆記、初夏に実技、後期は秋に筆記、冬に実技、という流れが基本です(具体的な日程は年度ごとに公式で発表されます)。そして独学者にとって心強いのが、合格した筆記科目は、合格した年を含めて3年間有効という仕組み。年2回受けられるので、最大で6回の受験機会の中で9科目をそろえればよいことになります。つまり「1回で全科目そろえなくてもいい」。1回目で受かった科目は持ち越し、残った科目に集中する。この戦略が取れることが、独学のハードルをぐっと下げてくれます。
無理のない学習スケジュールの立て方
計画を立てるときは、いきなり9科目を完璧に、と考えないことがコツです。おすすめは次のような進め方です。
- 試験日から逆算して、全体の勉強期間を決める(例:半年)
- 9科目を「得意・苦手」でざっくり分け、苦手科目に時間を多めに配分する
- 1科目ずつ「テキスト1周→過去問」を繰り返し、早めに過去問へ進む
- 直前期は、間違えた問題と「ニコイチ」科目の総復習にあてる
過去問は「最後の力試し」ではなく、早い段階から解いて出題の傾向に慣れるのが独学のセオリーです。完璧に覚えてから問題を解こうとすると、いつまでも前に進めません。6割取れれば合格なので、満点を狙わず「合格ラインを確実に超える」意識で十分です。
保育士の独学の勉強法とつまずきやすい難所

ここでは、実際の試験範囲と、独学者が引っかかりやすいポイントを具体的に見ていきます。難所をあらかじめ知っておくだけで、対策の優先順位がはっきりします。
- 筆記は9科目・各6割で合格
- 最大の難所「教育原理・社会的養護」のニコイチ
- テキスト・問題集の選び方
- 実技試験(音楽・造形・言語から2分野)の対策
筆記は9科目・各6割で合格
筆記試験は、次の9科目で構成されています。
- 保育原理
- 保育の心理学
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
すべてマークシート方式で、各科目100点満点中60点(6割)以上で合格です。満点を取る必要はなく、6割を確実に超えればよいという点は、独学者にとって大きな安心材料です。範囲は広いものの、過去問でよく出るテーマは決まっているので、出題傾向をつかんで効率よく覚えていくのが王道です。
最大の難所「教育原理・社会的養護」のニコイチ
9科目の中でも、独学者がもっとも苦戦しやすいのが「教育原理」と「社会的養護」です。この2科目は「ニコイチ」と呼ばれ、それぞれ50点満点中30点(6割)以上を、両方とも同じ回で取らないと合格にならないという特別な扱いになっています。片方だけ6割を超えても、もう片方が届かなければ、両方とも不合格扱い。しかも各50点満点と配点が小さいぶん、1問の重みが大きく、油断するとあと一歩で落としてしまいます。ここは多くの受験者の関門なので、2科目はセットで、直前期にも重点的に復習しておきましょう。「ニコイチがあること」を最初から知っているだけで、対策の優先度をぐっと上げられます。
テキスト・問題集の選び方
独学の教材費は、テキストと問題集をそろえて5,000〜1万円程度が目安です。選ぶときのポイントは3つ。
- 最新年度版を選ぶ(制度や統計が更新されるため、古い版は避ける)
- テキストと問題集はできれば同じシリーズでそろえる(解説の流れがつながって理解しやすい)
- 図やイラストが多く、初学者向けと明記されたものから始める
何冊も買い込む必要はありません。1シリーズを繰り返し解き込むほうが、知識が定着します。書店で実際に中身を見て、自分が読み続けられそうなレイアウトのものを選ぶと、挫折しにくくなります。
実技試験(音楽・造形・言語から2分野)の対策
筆記に合格すると、次は実技試験です。実技は「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野から2分野を選択します。音楽はピアノなどでの弾き歌い、造形はお題に沿った絵を時間内に描く、言語は素話(お話を子どもに語る)といった内容です。実技は、独学だと「自分の出来が合格水準に達しているか分かりにくい」のが正直なところ。対策としては、自分の演奏や読み聞かせをスマホで録画・録音して客観的に見直す、絵は時間を計って何枚も描いて慣れる、といった方法が有効です。得意分野・準備しやすい分野を早めに2つ決めて、筆記と並行して少しずつ練習しておくと安心です。
保育士の独学が不安なときは通信講座も選択肢

ここまで読んで「自分にもできそう」と思えた方は、ぜひ独学で挑戦してみてください。一方で「一人だと続けられるか不安」「実技が心配」という方もいるはずです。最後に、独学と通信講座を冷静に比べて、自分に合う方法を選ぶための材料を整理します。
- 独学のメリット・デメリット
- 通信講座が向いている人
- 独学と通信講座の費用・サポートの違い
- 保育士の独学は計画と対策で十分目指せる
独学のメリット・デメリット
独学のいちばんのメリットは、費用を抑えられることと自分のペースで進められることです。教材費だけで挑戦でき、すきま時間を活用できます。一方でデメリットは、実技の出来を客観視しづらいこと、制度改正などの最新情報を自分で調べる必要があること、そしてモチベーションの維持が難しいことです。とくに範囲が広く期間も長めなので、途中でペースが落ちてしまう人は少なくありません。この弱点を自分で補える人にとっては、独学はとても合理的な選択肢です。
通信講座が向いている人
「独学のデメリットを埋めたい」という方には、通信講座という選択肢があります。通信講座は、試験範囲に絞った教材が届き、実技の添削やスケジュール管理のサポートを受けられるのが強みです。とくに、働きながら・子育てしながらで時間が限られている人、一人だと続かない自覚がある人、実技に不安がある人には向いています。保育士講座を提供している会社はいくつかあり、ユーキャンなどが代表的です。費用はかかりますが、「遠回りして何回も受験するより、最短で受かりたい」という方には、結果的に効率的なこともあります。
独学と通信講座の費用・サポートの違い
独学と通信講座の違いを表にまとめると、次のようになります。自分が何を重視するかで選びましょう。
| 項目 | 独学 | 通信講座 |
|---|---|---|
| 費用 | 5,000〜1万円程度 | 数万円程度(講座により異なる) |
| 教材 | 自分で選ぶ | 試験範囲に絞った教材が届く |
| 実技対策 | 自分で工夫する必要あり | 添削やアドバイスを受けられる |
| 最新情報 | 自分で調べる | 講座側が反映してくれる |
| モチベ維持 | 自己管理が必要 | スケジュール管理のサポートあり |
独学と通信講座のより詳しい比較は、通信講座と独学どちらで資格を取るべき?費用・合格率・向き不向きを比較の記事でもまとめているので、迷っている方はあわせて読んでみてください。
保育士の独学は計画と対策で十分目指せる
ここまで見てきたように、保育士の独学は「正しく準備すれば十分に合格を目指せる」挑戦です。ポイントを振り返ると、合格率は約20〜30%だが科目合格を3年かけて積み上げられること、勉強時間の目安は100〜180時間であること、「教育原理・社会的養護」のニコイチが最大の難所であること、そして実技は早めに2分野を決めて練習することです。一人で進める自信があるなら独学で、不安が大きいなら通信講座でと、自分の生活と性格に合った方法を選べば大丈夫。まずは受験資格を確認し、最新年度のテキストを一冊手に取るところから、はじめの一歩を踏み出してみてください。
保育士の独学についてよくある質問
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QQ:保育士試験は誰でも受けられますか?
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A
年齢制限はありませんが、受験資格は最終学歴によって変わります。大学・短大・2年以上の専門学校を卒業していれば学部学科を問わず受験できます。高卒・中卒の場合は、卒業時期や児童福祉施設での実務経験などの条件があるため、申し込み前に公式サイトでご自身のケースを確認してください。
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QQ:保育士の独学にかかる費用はどれくらいですか?
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A
テキストと問題集をそろえて、5,000〜1万円程度が目安です。これに受験手数料や、実技用の楽譜・画材などの費用が別途かかります。通信講座を使う場合は数万円程度(講座により異なる)が目安です。
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QQ:働きながらでも独学で合格できますか?
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A
可能です。勉強時間の目安は100〜180時間で、1日1時間なら半年ほどが目安。さらに合格科目は3年間有効なので、忙しい方は数回に分けて科目をそろえる作戦も取れます。すきま時間を活用しやすいのは独学の強みです。
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QQ:実技試験は独学で対策できますか?
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A
対策はできますが、出来を客観的に判断しづらいのが難点です。自分の弾き歌いや素話をスマホで録画・録音して見直す、造形は時間を計って繰り返し描く、といった工夫が有効です。不安が大きい場合は、実技の添削が受けられる通信講座を検討するのも一つの方法です。

